自覚症状 悪性抹消神経しょう腫瘍
レックリングハウゼン病の予後は良好と言われているが、悪性末梢神経しょう腫瘍となれば命に関わる場合が出てくる。
どのような自覚症状が出た時に注意すべきかについて患者自身が知っておくことで、生死を左右するのではなかろうか?
⭐️基本情報
悪性末梢神経しょう腫瘍は
30歳前後に発生することが多いが、思春期ごろ発症することも。
合併頻度は2%
悪性末梢神経しょう腫瘍の5年生存率は約20から50%と言われており、レックリングハウゼン病患者で約16%、それ以外の患者では約53%と報告されている。
予後を左右する因子としては、腫瘍の大きさ、組織像、発生部位などが知られている。
治療の基本は根治切除だが、根治切除が困難な症例や局所再発例も多く、肺などへの遠隔転移も多い。そのため放射線療法の併用や化学療法が用いられるが、早期発見と早期治療が最も重要と考えられる。
⭐️自覚症状
患者としては以下のような症状のいずれかが出たら注意したい。
1 持続する痛みやしびれ
2 急激なサイズの増大
3 腫瘍の硬さの変化(柔らかいものが硬くなる)
4 神経障害や神経異常を認めた場合
⭐️未成年者の場合
レックリングハウゼン病患者にはもともと神経繊維腫が多発しているため、悪性末梢神経しょう腫瘍の発見が遅れる可能性がある。
特に10代の患者は病院受診を敬遠する傾向があり、両親や医師に病状を正確に伝えない場合がある。未成年患者に対しては、前もって上記自覚症状について十分な説明を行い、啓蒙しておく必要がある。
⭐️⭐️⭐️
山梨県立中央病院の「異なる転帰をとったNF1に生じた悪性末梢神経しょう腫瘍の2例」と
名古屋大学整形外科の「未成年者に生じた悪性増性神経しょう腫瘍の検討」
という論文をもとに記載。