最新の知見
最新の知見とは、患者や患者家族にとって大変興味深い話題ではなかろうか?
特に、6個以上のカフェオレ斑があるが、他の合併症が生じていないため同病と確定されていない患者にとって興味深い記載があった。
⭐️臨床的診断
家族歴がなくとも8歳までには97%が臨床的診断基準を満たすが、小児では診断の難しい場合がある。
小児では脳のMRI検査を行うと半数以上にT2強調画像で高信号を呈する病変が認められる。これを診断基準に含めてはどうかと言う意見がある。
また、貧血母斑は患者の半数近くに見られ、特異度が高いと言う報告や、
若年性黄色肉芽腫と貧血母斑いずれかを用いれば小児患者の鑑別診断に有用であるとの報告がなされている。
⭐️遺伝的診断
遺伝子診断の精度は95%以上と報告されている。
しかし、同病の原因遺伝子が巨大で遺伝子変異が高頻度に起こる部位がないため、検査にかなりの時間と労力を要し、本邦においては遺伝子診断は推奨されてこなかった。
しかし近年、
同病とよく似たレジウス症候群が報告されたこと、
次世代シーケンサーの登場により短時間低コストで遺伝子診断が可能となってきたことなどにより、
同病に遺伝子診断を積極的に行ってはどうかと言う意見も見られる。
⭐️海外で行われている臨床試験
現時点では同病の根治治療は困難であり、合併症に対して必要に応じた対処療法が行われている。
腫瘍の発生予防や腫瘍の縮小、悪性末梢神経しょう腫瘍の治療、認知機能などの改善を目的として分子標的治療薬に注目が集まっており、臨床試験が行われている。
残念ながら効果の見られない薬剤も多かったが、明らかな腫瘍縮小がなくとも痛みが軽快した例もあり、患者の生活の質を改善している可能性はある。
ただしこれらの薬剤を長期間使用した場合の安全性や費用等未解決の問題が残されている。
⭐️難病行政
同病は指定難病であり、重症度3、4、5と認定された患者は公費助成の対象である。
さらに同病は小児慢性特定疾患の対象疾患でもある。
18歳未満で基準を満たせば、まずは小児慢性疾患助成制度を活用し、18歳以降は難病申請を行う方が良いと思われる。
⭐️⭐️⭐️
鳥栖大学医学部の「レックリングハウゼン病の最新の知見(本邦および海外における現状と課題)」を参考に記載しました。